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イスラム金融の重要性:脱グローバル化

「イスラム金融」は、イスラム教の教義に則った金融のことです。イスラム教の教義(イスラム法)は「人のあるべき生き方を示す道」という意味の「シャリア」と呼ばれています。そのため、イスラム金融は、「Shariah-compliant finance」(シャリアに適った金融)と呼ばれることもあります。

イスラム金融の特徴は主に2つで説明できます。1つは、「金利の概念がない」という点です。

イスラム教の教典(コーラン)では、イスラム教徒は「利子(リバー)」を受け取ってはならないと定めています。これと似たケースでは、中世以前のヨーロッパでもキリスト教が利子の受け取りを禁止していたこともあります。

2つめの特徴は、「金融取引の関連する事業につき、シャリアに反するものは排除される」ということである。イスラム教で禁止されている「豚肉やアルコールの摂取」「賭博」「武器」「ポルノ」「喫煙」などに関連した事業との取引(融資など)は禁止されます。


金利の禁止などは中世ヨーロッパにもあったことであり、イスラム金融が異質であるというわけではありません。また、融資先の事業内容を倫理的に判断するということも、非イスラム金融で行われていることです。

このように、イスラム金融は私たちの思い描く「金融」とそれほどかけ離れたものではありません。

さらに、イスラム金融はイスラム教徒(ムスリム)だけが参加するものではなく、非イスラム教徒でも利用できます。イスラム金融サービスを提供する組織の従業員もイスラム教徒である必要はありません。反対に、イスラム教徒はイスラム金融以外の金融サービスを利用することも普通です。このようにイスラム金融は宗教的に「排他的な」ものではありません。

イスラム金融の先進国の1つであるマレーシアでは、イスラム金融利用者の7割が非イスラム教徒だという調査結果もあります。また、多くの多国籍金融機関がイスラム金融事業を展開しています。